ガンマ線バーストって、ご存じですか?
ガンマ線バーストは宇宙で最も激しい爆発であり、超新星爆発やブラックホールの合体などで生じるとされます。
東大宇宙線研究所などの国際研究チームが、ガンマ線バーストからの高エネルギーガンマ線を検出し、2019年11月20日付の英科学誌「ネイチャー」の電子版に発表しました。
そこで、今回は、ガンマ線バーストについて、
- 検出されたガンマ線バーストは1兆電子ボルト!
- ガンマ線バーストとブラックホール
- ガンマ線バーストを研究する東大宇宙線研究所とは?
について、調査していきます。
また、この記事の後半には、ガンマ線バーストに関する動画を掲載しております。
ぜひ、合わせてチェックしてみてくださいね!
検出されたガンマ線バーストは1兆電子ボルト!
ガンマ線バーストは、重い星の一生の最後に起きる大規模な爆発現象のことで、宇宙最大の爆発現象です。
波長が短く、非常に高いエネルギーを持つガンマ線という光を放出します。
ガンマ線バーストは、突発的でガンマ線放射も数秒から数分間しか持続せず、詳細な観測が困難でした。
2019年1月15日(日本時間)、日米欧のフェルミ・ガンマ線観測衛星などが、強いガンマ線の放射を検出し、22秒後に世界中の観測施設に通知しました。
スペイン・カナリア諸島にあるMAGIC望遠鏡では、通知から40秒後に観測を始めます。
光の粒子が大量に降り注ぎ、解析の結果、その1個当たりのエネルギーは従来の最高の10倍にあたる1兆電子ボルトに達していたことが判明。
電子ボルトとはエネルギーの単位で、1ボルトで加速された電子1つのエネルギーが1電子ボルトです。
1電子ボルトは、1.6×10-19ジュールに相当し、原子レベルの大きさでの現象を考える時に使われる単位です。
今回観測されたガンマ線は、約45億年前に太陽の数十倍以上の質量を持つ恒星が重力崩壊し、ブラックホールが生成される際に放出されたものと推定されました。
ガンマ線バーストとブラックホール
ブラックホールという言葉は、一般的にもよく知られている言葉ではないでしょうか。
SF映画やアニメで、よく出てきますよね。
ブラックホールとは、「きわめて高密度で、強い重力のために物質だけでなく光さえ脱出することができない天体」です。
『天体を「ある半径」より小さく縮めると、その表面での周回速度は、光の速度に達し、どんな物体も逃げられなくなり、光さえも逃げ出すことができない』
これが、ブラックホールの概念なのです。
地球も、5㎜に縮めれば、ブラックホールになるということになります。
では、今回観測されたガンマ線バーストとブラックホールは、どんな関係にあるのでしょうか?
ガンマ線バーストは、重い恒星の超新星爆発でブラックホールができる時や、中性子星やブラックホール同士の合体に伴って起きます。
ブラックホールは、強い重力で周囲の物質を吸い込む反面、光速の99.99%もの速度で周囲の物質を噴出させているものがあるそうです。
これを「ジェット」と呼びますが、このジェットがブラックホールによってどう駆動され、どう輝くのかは、宇宙物理学における最大の謎の一つとなっているのだとか。
ガンマ線バーストも、ブラックホールジェットが引き起こすものと考えられています。
ガンマ線バーストを研究する東大宇宙線研究所とは?
今回、1兆電子ボルトに達するガンマ線バーストを観測・解析した国際研究チームは、東大や京大、独マックスプランク物理学研究所などから構成されています。
東大宇宙線研究所は、宇宙線の観測と研究とを様々な角度から行っている研究所です。
前身は、なんと昭和25年(1950年)生まれ!
朝日学術奨励金によって、乗鞍岳に立てられた朝日小屋で、これが昭和28年(1953年)に東京大学宇宙線研究所となりました。
とても長い歴史がある研究所なんですね!
超高エネルギーガンマ線観測においては、2015年にCTA(Cherenkov Telescope Array)プロジェクトの大口径チェレンコフ望遠鏡の1号機の設置をスペイン領カナリア諸島ラ・パルマで開始します。
CTAプロジェクトとは、
100台近くの解像型大気チェレンコフ望遠鏡を 3-10 km2の領域に敷き詰めた、大規模なTeVガンマ線天文台を南半球(チリ・パラナル)と北半球(スペイン・ラパルマ)に建設し(図1)、 現在の望遠鏡の10倍深い感度を達成し、エネルギー領域を20 GeVから100 TeV領域(現在稼働中のものは約100 GeV から約10 TeV)までカバーすること(図2)を目指す 国際共同実験計画です
このプロジェクトで設置されたチェレンコフ望遠鏡が、今回の研究で用いられたMAGIC望遠鏡なんですね。

まとめ
ここまで、ガンマ線バーストについて、
- 検出されたガンマ線バーストは1兆電子ボルト!
- ガンマ線バーストとブラックホール
- ガンマ線バーストを研究する東大宇宙線研究所とは?
について、調査してきました。
いかがでしたか?
ちょっと難しくてわかりにくかったのですが、いろいろ調べて勉強になりました。
今回観測された1兆電子ボルトのガンマ線バーストは、従来想定していた原理では説明できないそうです。
観測と研究は、これからも続きます。
今後の進展が楽しみですね!
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